ユニバーサルデザイン・工芸研究会 バス見学会

先日、恒例のバス見学会が行われました。
今回の見学先は4ヶ所でしたが、すべて静岡市内で移動がとても楽でした。
最初の訪問先は、当研究会の会員でもある株式会社AKAISHIさんでした。

ここはサンダルや靴のメーカーで、健康志向の様々なグッズも企画販売している会社です。

ショールームには主力製品のアーチフィッターが美しく展示されています。
コンセプトは「美しく健康に歩くよろこびをすべてのあしもとへ」です。
毎日履き続ける靴は、健康や美容に深い関わりが有り、フットケアが重要との事でした。
ここでは商品開発とデリバリー機能に特化し、製造は他の工場で行うようです。

プレゼンルームには、沢山の足形がありました。社長さんに聞くと、これらは靴メーカーにとって最も大切な物なのだそうです。


これらの型を起こす前に、多くのデータを取り、試行錯誤の後、商品化するのだとの事です。
隣の部屋には開発チームがCGを駆使して様々な商品を企画中でした。

さりげなく置かれた人体の骨格モデルがこだわりを感じさせますね。

これは筋電図を取り続けるためのルームランナーですが、そのデータを解析するソフトや靴底の硬度などを測定する装置、重心移動のデータ取りの装置、3Dプリンターなどの具体化のツールなど、新たに企画した商品をすぐにテストできる環境があり、試行錯誤のリードタイムを縮める工夫が感じられました。さすがです。


たくさん作られる試作用の靴底が健康志向のこだわりを物語っていますね。

倉庫の一角には試作を支える6軸の切削加工機や3Dプリンタが並んでいました。

静岡の地場産業であるサンダル業界も安価な輸入品の影響を強く受ける業界ですが、そのような中、高い技術力で差別化するこだわりが企業の生き残りの源泉なのですね。




次に向かったのは無垢の板で手作り家具を製造している金鱗(きんりん)さんでした。


ここは当社のキコラとはご同業ですが、古くから静岡の家具業界を見続けてきた店主の石川さんの説明には同業ならではの強い説得力が有りました。
静岡の家具業界は日本の5大産地の一つとして有名でしたが、他の産業同様衰退してきました。これは静岡に限った事では有りませんが、産地としてのこだわりや特徴が顧客にまで届いていないのです。静岡空港を降りた観光客が静岡の特産品を聞かれたときに、家具と言う言葉自体が全く出てこない現状では、ブランドの復活はあり得ません。この分野でも、何にこだわるのかが大切なのだと感じました。


メンバーの中には木工業の方も多く、石川さんの話にみな納得の様子です。





昼食後に向かった先は、静岡県立清水技術専門校「清水テクノカレッジ」さんでした。


まずはプレゼンビデオを見て施設の説明を受けます。
ここは若者に即戦力の技術力を持たせるための教育機関です。次第に就職が厳しくなるご時世ですが、ここの卒業生には高い評価が寄せられているとの事でした。
見学したのは木工科の教室でした。

ここでは、まず刃物や道具の使い方をしっかり教育し、6ヶ月の教育期間で、かまち組の箱物家具が作れるようになるのです。
生徒さんは少数精鋭で、女性の姿が目立ちました。
最近の傾向として木工に興味を持つ女性が増えたとの事でした。
多くの若者が技術を身に付けてここから巣立っていったのでしょう。



ヤギモク 遠藤