大スパン木造立体トラス構造

先週、建築事例研究実習とゼミ旅行をかねて群馬県から栃木県の木造建築物を見学してきました。
「公共建築物の木材利用の促進に関する法律」が施行され、各地で大型木造への関心が高まってきました。現在の木材供給は、そのほとんどが木造住宅用になされているため、大規模な木構造の為の部材供給と加工が遅れている事が指摘されています。その様な状況を踏まえ、今回の見学になったのだと思います。
2日間で4箇所の建物を見学するのですが、最後に行った隈研吾の馬頭広重美術館以外はすべて稲山先生の構造設計になる建物でした。木造空間をどの様な手法で魅せるのか、興味深く見学して来ました。

最初に行ったのは群馬県渋川市行幸田保育園(みゆきだほいくえん)でした。

設計者の小見山さんと構造設計者の稲山先生のお二人で案内していただきました。贅沢な見学会です。

この2月末が竣工予定の保育園で、まさに仕上げ工事の真っ最中でした。

面積は1657㎡なので準耐火構造となり、燃え代設計がされていました。

保育室は8メートルのスパンを3尺間に大梁を入れて屋根を支えています。
それぞれ35㎜ずつ燃え代を取り、残った断面で短期応力に耐えるように計算されています。

保育室前の廊下です。


圧巻はなんと言っても木造立体トラスを用いた遊戯室です。


スパン12メートル以上の架構はボールジョイントなどの金物を一切使わない純木造の立体トラスでした。
木造とはこういう物だ、とのこだわりが強烈に出ていますね。

この様なトラスでは金物の支点を用いることが一般的です。しかし仕口を工夫して噛み合わせ部のめり込み耐力でバランスさせた構造はお見事です。

下弦材は合わせ梁になっています。先生はこの様な手法を良く用います。

先生の説明にも力が入ります。

随所におもしろい見せ場があり、この様な保育園で育つ生徒はおそらく木の事を好きになるに違いありませんね。





ヤギモク 遠藤