林業機械化センターその2 寄宿舎棟

この寄宿舎棟は第2期工事で建設されました。
前回の事務所棟に習い、梁間方向耐力壁+桁行方向多層多スパンラーメンを継承した構造です。


先の事務所棟では梁間方向の耐力壁には面材貼りせん断系であったのに対し、これは筋違方式軸力系で作られています。
しかし、筋違は圧縮には端部金物なしでも全断面が効きますが引張りは金物に依存します。しかしそこにも先生のこだわりが現れています。筋違頂部はそれぞれ相欠きにして柱脚は足固め貫を絡めて引張りにも効かせています。金物を嫌うためにそこまでやるか・・いやぁ参りました。

この寄宿舎棟で最もおもしろい構造的チャレンジは、食堂の正面側には耐力壁を設けず、全面ガラスにしたいとの意匠面の要求に、ラーメンではなく、水平トラスをV字型の梁として屋根に仕込んで、開口部側の耐力壁を全く設けずに処理している事です。
普通にやればもちろん偏心率が偏ります。それを食堂側に位置しているラーメンの列を裏側より柱ピッチを2倍にして(接合部の数を2倍にして)この列の剛性を上げ、それで全体の偏心バランスを取っているのです。


これです。



貫方式の梁と合わせ柱のラーメン仕口にはミズナラの込み栓を打って初期剛性を上げています。


もちろん階段もこだわり満載です。

これは中央の列柱から左右の段板が跳ね出しになっていて、段板の根本の相欠き部のモーメント抵抗で持っています。

これが相欠き部分です。

踊り場は肘木仕様です。


貫仕様の梁の継ぎ手部分はもちろん木質プレートです。

楽しい構成ですね。


ヤギモク 遠藤