ガーデニングワールドカップ・フラワーショー in 長崎 その1

今、長崎のハウステンボスガーデニングショーが開催されています。
これはイギリスのチェルシーで毎年開催されているチェルシーフラワーショーがモデルのイベントです。
本家のチェルシーフラワーショーは140年以上の歴史が有り、エリザベス女王や各国の要人が集まるスーパーイベントですが、このハウステンボスでのショーは今年で2度目という企画です。
しかし、タイトルの「ワールドカップ」とはちょっと大げさかな?

以前から気になっていたのでちょっと見に行ってきました。

会場は広大なハウステンボスの南西の隅にあります。

ショーは2つの部門に分かれていて16チームが参加していました。

ショーガーデン部門 (1作品100㎡)10チーム
スモールガーデン部門 (1作品25㎡)6チーム

すでに審査が終了しており、それぞれに賞が付いていました。
しかし、賞の付け方に若干問題が有るように感じました。

ショーガーデン部門  金賞4チーム、銀賞4チーム、銅賞2チーム
スモールガーデン部門 金賞2チーム、銀賞2チーム、銅賞2チーム

つまり、すべてのチームに金銀銅のメダルが与えられていました。ハズレは有りません。
ちょっと・・ずるくないかい? 何の競技でも金賞は一人だけのはず。

まあ、文句を言わずにどの様なショーなのか見てみましょう。


ショーガーデン部門金賞の中でも「最優秀作品賞」と「農林水産大臣賞」を獲得して事実上の1位の庭からです。
デザイナーはオーストラリアの Jim Fogarty氏です。

タイトルは「ブッシュファイアー」です。
リーフレットに掲載されているイメージパースを見るとこんな感じです。

実際の庭はこんな感じです。



ブッシュファイアーとは山火事の事で、オーストラリアでは常に森が焼け、再び植物が芽吹き平穏が訪れる再生の繰り返しが続くのだそうです。それをあずまやと木々で表現したと解説には有ります。
ちょっと「こじつけ」の様な感じですが、まあ美しくまとまったバランス感のある庭だと感じました。
細部の植物の組み合わせなども美しく、あずまやでくつろぐイメージが伝わりますね。


もうひとつ金賞を紹介します。
タイトルは「Tearful eye2011」で、日本人ガーデナー藤原良治氏の作品です。

これは宮沢賢治の「涙ぐむ目」という花壇のデザイン画をモチーフにした作品です。


金賞に加え、最優秀施工賞を獲得しています。



目の中央部に上部から鎖をつたわり水がしたたり落ち、目尻へと流れていく、という設定です。
中央の開けた部分のオブジェを木々が取り囲んで閉じた空間を構成しています。

奇抜なオブジェの横を通り抜ける刹那の快感が伝わります。しかし、人がとどまりくつろぐというイメージでは有りません。

この様な、「生き物」で構成される空間を造るには、それぞれの植物のコンディションを知り、枝葉の形のおもしろさを加え、オブジェとのバランスを取る事が必要です。
なので、木の樹形や葉の色などを見て新たなインスピレーションが湧いてくるのでしょう。
そのため、実物はイメージパースとは若干異なる仕上がりになっていますね。

楽しい仕事だと感じました。

ヤギモク 遠藤