耐力壁ジャパンカップ2011 その3

いよいよ私たちのチームの対戦になりました。

静大・ヤギモクチーム板壁2号(左) 東京都市大学大橋研究室、初代ユキヒロ(右)

対戦に先立ち、それぞれの壁のプレゼンタイムが有ります。
まずは我が板壁2号の説明です。これは私の担当でした。

柱と壁には静岡県産材の桧を使用しており土台は栗です。
静岡県での対戦なので負ける訳にはいかないとの決意を表明しました。表にはあまり構造要素が露出しない様に配慮した壁で、そのまま民家建築にも使える壁を目指しています。

東京都市大は大橋先生自身もプレゼンに立ちます。

金物を一切使用しないこの壁は、足元にLVLのやといほぞをあり形状で差し込んであります。全体的には初期剛性が低いように見受けられますが、粘りは有りそうですね。


加力が始まり、最初の頃は板壁2号が圧倒的な初期剛性で一方的に差を広げます。
しかし初代ユキヒロの変形が大きくなるにつれ、耐力が上昇して28KNあたりになった頃、板壁2号から「バキッ」といういやな音が聞こえ、グラフががくんと下がりました。何があったのか最初は判りませんでしたが、どうやら中央部分の板の内部の嵌合凸部がせん断破壊したようです。要素試験結果ではこの部分は220KN程度の耐力が有るはずでした。どうやらこの部分の加工精度が悪く、均一に凹凸部分に力が掛かっていなかったようです。応力集中の為、弱い部分から次第に他の部分の凸部に破壊が連鎖して、全体の耐力が一気に落ちたようです。
結果的に板壁2号はその他の部分の残った耐力を総動員して抵抗しましたが、板壁自体のせん断力が無くなった為、変形量の差(1㎜)で破れてしまいました。1㎜でも負けは負けです。まさに想定外の破壊でした。
結果的に、この対戦相手の大橋研究室の初代ユキヒロが決勝まで進みました。


予選敗退という現実に打ちひしがれ、全員呆然として記念撮影です。

そして負けたチームはすぐに耐力壁を解体してその時間を計測しなければなりません。静大生男女5人のチームで解体をします。


女性メンバー達も逆さになって一生懸命ビスを抜きます。


土台の内部に折れたビスのかけらが残ってしまいました。これを取らないとその他の木部分も金属として計量されてしまいます。

ノコギリを3本持っていきましたが刃が壊れてしまい、他のチームから借りるというアクシデントもありましたが、何とか終了です。45分でした。

予選敗退という思ってもいない結果でしたが、私たちのコンセプトが間違っていた訳では有りません。
しかし残念でした。
この日の夜は、前日すでに敗退していた東大+金子建築チーム(昨年2位)のメンバーと合同残念会をやりました。
来年こそはトーナメント優勝を勝ち取ろうと、ちょっと早いですが来年の祝勝会の練習?でした。

ヤギモク 遠藤