CLTによる3階建て実大振動実験

先日の木材新聞にCLTを使った振動台実験の記事が載っていました。
これは国総研と防災科学技研、日本システム設計がおこなった実験で、実行委員長は静大の安村先生です。

CLTとはクロス・ラミネーティド・ティンバーの略で、乾燥製材を直行させて貼り合わせた大型のパネルです。
ヨーロッパではこれを使った5階〜7階建ての木造ビルが建築されるようになってきました。
公共建築物等木材利用促進法で公共建築物の木造化を進める上で、この様な新たな構法を具体的に使えるようにする事が望まれています。
今回は1×6メートル厚さ150㎜のCLTパネルを引きボルトで緊結して壁構造とした建物で、3階建てですが、最上階に更に2層分の重さに相当する40トンの荷重を載せて、擬似的な5階建てとして振動実験をしたようです。

結果的には非常に硬い構造体になったようで、記事には希に発生する地震に対し損傷限界変形量は2階部分で最大層間変形17.7㎜、1/200ラジアン程度、足元の浮き上がりは3㎜程度になったとあります。伝え聞くところによると、この地震波の後で神戸やその他の地震波を入力したが結局壊すことができなかった様です。

ヨーロッパのように階高と同じ幅のCLTが供給可能になれば、階毎に一枚のパネルを使用することになり、更に剛性が高くなります。
各地の木材をこの様なCLTに加工する事ができれば、公共建築物のみならず民間の商業ビルにも地産地消で、 更に木造のコスト面での優位性が成り立つ可能性が有ります。
今後の開発に期待したいですね。

ヤギモク 遠藤