杉山英男の語り伝え

2年ほど前、東大弥生講堂で「木質構造研究会」のイベントとして杉山英男賞の授賞式がありました。
その場でこの「杉山英男の語り伝え」という本が参加者全員に配られました。
杉山英男先生と言えば、日本の木質構造の恩人であり、偉大な先駆者でした。
 


この本は、以前日本住宅・木材技術センターの「住宅と木材」の先生のコラムを一冊にまとめたものです。
私は先生との面識はありませんが、当時このコラムは良く読んでいました。

現在私が所属する農学部の木質材料研究室の安藤直人教授から、授業の際この本の紹介が有り、杉山先生の思い出話しをされました。
改めて本を見返すと、木質構造の様々な変遷や先生の研究などが細かく記述されています。
また先生は静岡の生まれである事を発見し、大変驚きました。
安藤先生のお話によると、杉山先生は大変な「メモ魔」だったようで、本当にたくさんの資料を溜めておられたとの事でした。
今でも浜松にある「杉山英男記念館」には、大変貴重な資料が大量に保存されている様です。

私たちが日頃口にしている「木質構造」と言う言葉は、杉山先生が提唱された言葉でした。
戦後、日本建築学会で行われた「木造禁止の決議」以来、木造は受難の歴史をたどります。
その中で、国策としての住宅産業の育成や、地域の木造との関わりなど、コラムは127に及びます。
この本はまさに日本の現代木質構造の歴史です。

*木質構造という言葉
*日本建築学会の木造禁止の決議
*田辺平学と耐震木造
*初期の木質プレハブ
*ツーバイフォー物語
パイロットハウス
*戦後の木質構造研究
伊勢湾台風の被害調査
新潟地震の震災調査、、他
安藤先生の研究室に行くと、杉山先生のほほえむ写真が飾ってあります。