Q値の現場測定

坂本雄三先生の「住宅環境特論」という三日間の集中講義中に、Q値の現場実測が高い精度で行える、との話がありました。先生にはエピオス工法のアルミ輻射熱反射を利用した空気層の実測結果を元に、空気層の熱抵抗に関する疑問点などをいろいろと相談していましたので、早速、エピオスで建てた住宅のQ値の実測を御願いしました。


測定する住宅は、御殿場にある分譲住宅で超長期優良住宅の先導的モデルです。国土交通省の補助を受けて建てられたこの住宅はもちろん高性能なエピオスです。現地には坂本研究室の服部さんが岐阜から来られて、私たちもお手伝いしながら、測定機器の設置をしました。


まずは気密測定からスタートです。良好な数値が取れて一安心。


窓には日射を軽く遮るために障子紙をカーテンの様に取り付けます。


24時間換気はそれぞれの部屋への換気量を精密に測定します。これも良し。


外部にはSATと呼ばれる温度計を設置します。これは外壁面の日射や夜間放射を温度に換算し「相当外気温度」とすることで、より正確に外部温度を設定するものです。


もちろん外気温度その物も測定します。


室内の温度測定にはグローブ球という黒い温度計を使用します。なぜグローブ球かと言えば、測定するのは気温だけではなく、周囲からの平均放射温度も熱伝達率で加重平均した「作用温度」を測るためです。これを1分ごとに測定して無線で中央のパソコンに飛ばします。それぞれの測定器はワイヤレスなので設置は至って簡単です。進歩したものです。以前はたくさんの「おんどとり」というメモリー付き温度計を終了後に回収して、データをパソコンに一つ一つ吸い出す作業がありましたが、その様な面倒な事は一切無しです。ハイテクです。


測定原理は、まず住宅内にたくさんの電気ヒーターを設置し、その周囲の空気をたくさんのファンでかき回し、住宅内の各部屋の温度をすべて一定にします。部屋の入り口ドアはすべて開放状態です。1階と2階はダクトファンで空気を循環させます。その様に強制的に建物内を一つの均質な気温の部屋として設定し、外気温度との差を計ります。それらの得られたデータを、比定常の動的解析プログラムで計算し、同定結果を算出します。どんな数値が得られるのか楽しみです。

設置が終わって一安心の服部さんとツーショット。お疲れ様でした。
測定は無人で3日間続けます。