日本の木造住宅の100年

以前安藤教授の木造住宅特論の授業中に数冊の本が紹介されました。その時に紹介された1冊がこの坂本功先生監修の「日本の木造住宅の100年」です。


これは2001年に日本木造住宅産業協会が出版した本です。これは古い木造建築の研究に比べて、近世から現代のとりわけ木造住宅に関する資料が少なかったことから、研究会が結成されて出版まで至ったものです。非売品であるこの本には、私たちが現在知っている木造住宅の姿が、どの様に出現したかが克明に書かれています。限られた範囲に配布されたこの本は、大学の建築系、住居系の学科などで教科書や参考書などとして使用すれば、木造住宅の理解に大変役に立つ内容だと感じます。非売品とは本当にもったいないですね。


第1章 災害と木構造
  1.地震災害と木構造
  2.台風・豪雪・火災と木構造
  3.20世紀に消えた構造要素、生まれた構造要素
第2章 木造住宅の各部構造
  1.基礎回りの工法の変遷
  2.壁工法の変遷
  3.建具
  4.継ぎ手・仕口
  5.新しい建材の歴史
第3章 木造住宅と意匠・空間・生活
  1.スタイルの変遷
  2.20世紀的な住宅のタイプ
  3.新しい生活空間
  4.生活設備の変遷
第4章 産業の近代化と木造住宅
  1.職人社会の変遷
  2.大工から工務店への大転換
  3.売買の対象となった木造住宅
第5章 各地の大工技能と木造住宅
付録  年表

この中で「生活設備の変遷」には、汽車便方式の大小両用便器が同潤会の登場で採用され、それは理想的文化住宅の研究の一環で有ったとされています。
おもしろいです。

木住協も良い本を出版してくれたものです。
でも、もったいない。