東大総合図書館の噴水

東京大学総合図書館の前庭におもしろい噴水が有ります。


相輪(そうりん)を模したこの噴水は連日の暑さに大活躍です。


相輪とは五重塔や三重塔の屋根上に乗せる飾りで、インドの仏舎利塔スツゥーパの上部の飾りが進化した物です。
しかし、よく見ると宝輪の部分が八層しか有りません。本来この部分は九輪と言って、仏教で無限を意味する九層にするのが一般的です。まあ、八輪の物も中には有りますが・・

相輪は一番上から、宝珠(ほうしゅ)、竜舎(りゅうしゃ)、水煙(すいえん)、宝輪(ほうりん)、受花(うけばな)、伏鉢(ふくばち)、露盤(ろばん)の各部分から構成されます。
これは噴水なので一番上の宝珠の部分が水の吹き出し口になっています。
どういう訳か昼休みには噴水の水が止まります。
省エネのためなのでしょうか?


そして水煙を見ると、え?・・ この水煙は・・・この穴あきレンコンの様な風変わりな模様は・・どこかで見たような・。

そうです、よく見たら京都の海住山寺(かいじゅうせんじ)の五重塔の水煙です。
これです。


しかし、海住山寺の相輪は九輪です。また、受花もしっかりと花の形をしていて、露盤には格狭間(こうざま)と呼ばれる模様が入っています。


まあ、噴水のオブジェなのでアラ探ししても仕方がないのですが、どうせなら九輪にした方が更にリアルになったのではないか、とため息が出るのは私だけではないはず。

このような事は藤井恵介先生はご存じなのか、それも気になります。今度会ったら是非聞いてみたいですね。

水煙の話ですが、時代により様々な形が生まれますが、次第に縦長になり、火炎の模様になってきます。

これらの技術は、飛鳥時代法隆寺などの建設の際に百済から派遣された、寺工(大工)、露盤博士(銅工)、瓦博士、画工などの職人達が多くの日本人の弟子を持ち、その技術を伝えた所から始まります。 相輪はまさに露盤博士の銅工の技術ですね。

海住山寺五重塔鎌倉時代初期の建設ですからまだ桔木(はねぎ)は使われていません。また心柱は一層の上部に乗っているので芯礎は有りません。

この新発見?で、図書館に行くのが楽しくなりそうです。