ユニバーサルデザイン・工芸研究会

本日、静岡工業技術研究所で研究会がありました。
今日のテーマは、「ユニバーサルデザイン知財戦略」です。
講師には、沼津市の(株)スギモト創建代表取締役の杉本昌之さん、特許庁の意匠審査官の神谷由紀さんのお二人でした。


杉本さんは、「誰にもやさしいドアの開発をめざして」と題して、公共トイレ用折れ戸、ネクストラシリーズの開発や意匠登録、特許出願、審査請求に関する体験談を自社商品のサンプルを示しながらお話しをされました。


次に特許庁の神谷さんは「デザインを経営資源として生かすには」と題して、意匠登録の詳細を判りやすく説明されました。意匠審査官自らこの様な説明をすることは極めて希なことなので、多くの聴講者が参加しました。

講師の皆さんとは昼食をご一緒したため、色々と意匠登録にまつわるお話しを聞くことができました。
特許庁では審査官が50人弱ですべての特許申請、意匠登録の処理をしているとのことでした。
日本は世界的に見ても特許申請の数はトップクラスです。その処理をたった50人程度でやっているとは驚きでした。意匠の審査は同一カテゴリーの案件をある程度(3ヶ月くらい)溜めて、100案件程度になったら、データベースを検索して、調べるようです。たとえば200万件ほどのデータの中から10万件程度に絞り、それを3ヶ月ほど掛けてすべてチェックしながら、その100案件に該当すると思われる物を抽出していくそうです。聞いただけで気が遠くなる数です。
私も以前特許出願の為に特許庁の2階の資料室にこもって過去の案件を調べたことを思い出しました。

特許は審査に平均29ヶ月掛かりますが、意匠登録では平均7ヶ月程度とのことです。
しかし、緊急性を要する案件は、意匠早期審査制度で3.5ヶ月以内に審査結果の通知をしなければならず、大変だそうです。

中国などから類似品が多数入ってくる為、税関でも意匠登録を元に模倣品差し止めの作業をしているとのこと。
建築でも、特徴のあるファサードや住宅の部分などは意匠登録可能のようです。
特許庁では彼ら審査官もユーザーからの直接の問い合わせに対応しているとのことでした。
ヤギモクでもチャレンジしたい、と話したら、是非相談を持ちかけて下さいと言っていただけました。


ヤギモク 遠藤