安全で長持ちする木の家

今年の五月に出版された「安全で長持ちする木の家」という本の紹介です。
この本は、私の通う研究室の安藤直人教授と京大生存圏の今村祐嗣教授、関東学院大学の中島正夫教授が執筆されたものです。安藤先生の授業の折りに紹介され、さっそく印刷したての本を研究室価格で購入しました。

住宅を長持ちさせる為の様々な知識の詰まったこの本の冒頭は、3人の教授達の座談会からスタートしています。
タイトルは、「木造住宅における耐久性・劣化性能の重要性と課題」です。

司会役は研究室の先輩の吉川さんが担当して、コシイプレザービングの西岡さん、前田さんが参加されています。
国による長期優良住宅の話題から入り、素材の耐久性、建物の建て方やシロアリ、腐朽菌の話題に進み、住まい手の住み方や伝統工法、維持管理までそれぞれの専門分野の話が炸裂して、とてもおもしろい密度の濃い雑談として展開します。

濃密な座談会の後は、それぞれの教授の授業というかたちで進行します。
「1時間目」は安藤先生の担当で「木造住宅革命」と題し、いつもの安藤先生の幅広い知識が、小気味よいテンポで展開します。

「2時間目」は生存圏の今村先生担当で、「木材の劣化と保存」です。
ここでは生物材料としての木材を専門的に紹介し、木材の腐朽、劣化、シロアリなどの詳細な話へ展開します。シロアリはアリよりもゴキブリに近い生き物ですが、先生のこの授業ではなぜかシロアリへの愛情が感じられる気がしました。昨年、森林総研の先生方の木材劣化に関する授業が東大と森林総研で有りましたが、森林総研のシロアリ飼育棟では愛情を込めてシロアリを育てている光景を思い出しました。

「3時間目」は関学の中島先生担当で、「木造建築の耐久設計」です。
耐震性と耐久性の話から入り、メンテナンス、耐久設計の基本原則へと進みます。そして湿度と劣化の話に繋がります。


最後には「課外授業」として工務店の選び方、つきあい方、メンテナンスの話で締めくくっています。

最後までどんどん引き込まれる、とてもおもしろい本でした。

その内容は多岐にわたり、それぞれの専門分野が生かされていて、おもしろいコラボだと関心させられました。


ヤギモク 遠藤