木質構造研究会の発表

先週、東大農学部弥生講堂で第14回木質構造研究会の技術発表会が開催されました。
私は長年聴講者として参加してきましたが、今回は初めて発表者として参加しました。

この木質構造研究会は1981年に杉山英男先生の提案で発足し、すでに29年になります。
最初は研究者相互の情報交換や交流の場としてスタートしましたが、その後次第に組織は大きくなり、今では多くの会員が在籍する会として木構造の世界ではとても有名になりました。
事務局は私の在籍する、東大農学部の木質材料学研究室内に有り、現会長は安東直人教授です。


年に数回開かれる発表会には、企業や大学、研究機関などから最先端の木材応用技術が発表されるため、トレンドを掴むのにはとても有効な会です。

機関誌の「Timber Engineering」も定期的に発行され、年末には技術発表会が毎年開催されています。

今回の14回技術発表会の梗概集です。



開催の挨拶は会長の安藤先生です。


毎年、6月には杉山英男賞、年末には大熊幹章賞の受賞発表が有ります。
今年の大熊賞は、
川原重明氏、森拓郎氏、中谷誠氏の「ラグスクリューボルトを用いた集成材ラーメン構造の実用化」

中村昇氏の、「木材・木質材料に関する信頼性理論の解説と啓蒙」の2組でした。


私の発表は2日目の午前中でした。
20分間の発表+5分の質疑応答なのですが、なんと時計を持っていくのを忘れてしまい、時間をオーバーして座長さんから注意をされるという失態でした。(笑)

発表内容は「面材耐力壁における合板端部留付方法の工夫による性能評価」という長いタイトルです。
これは、日頃研究している合板耐力壁を高度化した物です。
木造の耐力壁は、損傷限界を1/120ラジアンとしており、それ以降は塑性域に入り破壊が進みます。
しかし、今回の発表の様な工夫をすれば、弾性範囲を大きく伸ばす事ができるため、構造計算の1次設計で今後応用ができるのではないかと考えています。

発表の梗概集ページです。


最近仕事が忙しく、梗概集やパワーポイントの発表資料の作成にほとんど時間が取れず苦しい中での発表でしたが、とりあえず無事終わり、ホッとしました。

終了後、稲山先生や先輩の吉川さんから助言を頂きました。
ありがとうございました。

ヤギモク 遠藤。