設計ミーティング

昨日設計課のミーティングが開かれました。
今回の最重要課題は、地震に強い家づくりの為の構造設計指針の再確認と今後の方針の説明です。

これまでヤギモクは地震に強い建物を造るため、実験による様々な構造的な工夫と、全棟の許容応力度計算を実行してきました。
今回の東日本大震災の関連地震で、3月15日に富士宮市震度6強の地震が起きましたが、6強のエリアに於いて、ヤギモクの建物は構造面の損傷はありませんでした。これは全棟構造計算を実施しているから当然なのです。
しかし、安全な住宅であることが判っていても、もっと大切なのは、住む人が感じる安心感だと思うようになりました。
そのため、これからの設計指針として、更なる強い地震力に対しても大丈夫なことを、構造計算を通してお客様に証明していこうと考えています。

そのための構造指針と設計用の地震力の変更をするために、日頃住宅プランを描いている設計担当者がケーススタディーを通して、地震力と安全性能との相関関係の確認をしたのです。

講師は毎日構造計算を実行している、実施計画課の大原課長です。私も補足説明として地震力と建物加速度のレクチャーをしました。

今回の改訂はこれまでより設計用の地震力を大きくして、更に建物にある耐力要素をあるがままに評価して、実際の構造計算で高い地震性能を証明していこうというものです。
更なるハードルをしっかりと越えていこうと皆で確認しました。



*ここで、構造計算豆知識*

地震力は実際の構造計算では壁に掛かるせん断力として考えます。

せん断力=建物の重さ×地域係数×振動特性×Ai分布×地震層せん断力係数 で現されます。
式にすると Q=ΣM×Z×Rt×Ai×C0 となります。
とてもややこしいようですが、Z、Rt、Aiを1だとすると、重さ(ΣM)×地震層せん断力係数(C0) が地震力なのです。

ちなみに、建築基準法では、地震力算定用のC0(シーゼロ)は0.2とされています。

重さは建物毎に違い、大きな建物は重く、小さな建物は軽いのです。
図を示します。

この総二階の住宅で、1階の壁が支える重さは28.27トンです。それにC0を0.2として計算すると、1階の壁が負担する地震によるせん断力(水平方向に押す力)は5.65トンになります。これは建物の重さの2割が水平力として掛かる事になります。
このC0を大きくすれば、地震力が大きくなり、建物への負担が増します。つまり壁などの耐力要素を増やす事が必要になるのです。
(上記は判りやすくするためトンで示しましたが、本来は力の単位ニュートンに換算して計算します。)

性能表示制度で見ると、耐震等級と計算用地震力の関係が一目瞭然です。
 等級1: C0=0.2    基準法と同じ
 等級2: C0=0.25   基準法の1.25倍 (長期優良住宅の基準値)
 等級3: C0=0.3    基準法の1.5倍
 等級?: C0=0.35   基準法の1.75倍 (ヤギモクの長期優良住宅先導モデル:県産材エピオス

意匠設計者と構造設計者とのコラボで、これらの数値を押し上げる事がお客様の安心に繋がる事と考え、更なる工夫をしていきたいと考えています。

ヤギモク 遠藤