柱脚接合部の試験その1

先週から静岡県工業技術研究所の実験棟で柱脚接合部の引き抜き力試験をやっています。

これは、木造住宅の土台と柱、梁と柱など、柱の足元の引き抜き耐力を測定する試験です。
この結果から得られた短期許容耐力を使用してヤギモクの木造住宅の構造計算を行います。

なぜこの様な基礎的な試験を私たちのようなビルダーが行うのかと言えば、金物メーカーが提供しているデータは汎用性を重視する余り、無垢の柱のデータは杉のE50(最も弱い材料)を使用した試験値しか無いからです。
ヤギモクで建てる静岡県産材住宅は、土台も柱も桧のE90以上の材料を使用します。そのため、今回の試験では、この静岡県産の住宅をしっかり設計するためには無くてはならないデータなのです。

これが今回使用する試験機です。

この大型の試験機は、本来は箱物家具などを圧縮して強度を確かめる為の箱形試験機と呼ばれる物です。
今回の試験では100キロニュートン近くまでの荷重が想定されるため、いつも使用している50キロニュートンのオートグラフでは測定できないのです。

試験材料です。

今回の試験は7種類の接合部を一気に行います。
1種類につき7体使用するため、全部で49体分の材料が必要になります。

金物はメーカーさんから試験用として提供していただきました。(ありがとうございます)

まずは一番最初の試験体を組み立ててみました。
こんな感じです。


接合部にはこの様なホゾパイプと呼ばれる金物が入っています。

試験機にセットするとこんな感じです。

オレンジ色の器具は変位計です。これで接合部の詳細なデータを取得します。

これらの設備を制御するための装置です。

今回も工業技術研究所の赤堀さんに担当していただきました。いつも助かります。


この試験体がどの様な破壊性状を取るのかが気になりますね。
ドリフトピンが一本づつの場合は、多くはこの様な土台の割裂で終局が決まります。

しかし柱側がせん断破壊するような物もあります。

このホゾパイプは使用している中で最も小さい物ですが、それでも最大荷重は22キロニュートン(2.24t)出ました。もちろんこの数値がそのまま使われる訳ではありませんが、接合部が先に壊れる事はあってはいけないので、余裕が大きいほど安全側になります。

セットしては壊し、またセットする。
この様な地味な作業がまだまだ続きます。一日やっただけで筋肉痛になります。
今回は企画設計部のメンバーが忙しいため、私と赤堀さんの二人ですべての試験をこなします。(涙)


ヤギモク 遠藤