土壌の熱伝導率

平成22年に土壌の熱伝導率の指針が追加され、それまでの0.7w/mkが0.58〜1.74w/mkと幅のある数値になりました。しかしIBECの省エネ基準の解説と計算の手引きにはそこから先が書いてありません。

住宅性能評価・表示協会の温熱評価研修会テキストに対応策が載っていると言うのでさっそく取り寄せてみました。

これです。

しかし、分からない場合は1w/mkとする、とだけ有り、土壌の種類毎の判断基準は載っていませんでした。

年間暖冷房負荷の計算をする為には建物のモデリングを行いますが、そのモデリングソフトのAE-CADにも土壌の熱伝導率の初期値として0.698w/mkが使われています。さらにIBECのSMASHにもこの値が初期値として載っており、手入力で変えても他のパラメーターを変えると土の熱伝導率は元の数値に戻るようにわざわざプログラムされています。

まあ、グチを言っても仕方ないので、とりあえず土壌の熱伝導率の数値を探しました。

札幌市都市局建築指導部が今年の4月に出した「建築物の省エネ措置の届け出の手引き」にその資料が断片的に載っていました。
これによると砂質土0.9、ローム1.0、火山灰質0.5、砂利0.6、粘土質1.5w/mkとありました。

以前、砂質土は0.5〜0.7程度と聞いた事があります。もちろん含水率により数値は大きく異なるのですが、乾燥した砂は0.3程度、粘土質で1.2くらいとの認識でした。ヨーロッパの基準と日本の基準が異なるので問題ではありましたが、これまで余り気にしたことはありませんでした。

住宅エコポイント制度はすでに終了しましたが、土間の大きな平屋住宅などでは、土壌の熱伝導率もそれなりに無視できないファクターになってきます。先ほど計算した物件では年間暖冷房負荷計算で10MJ/㎡年の差でした。小さいと言えば小さいですが、ギリギリの物件では見過ごせません。

基準とそれを取り巻くデータは日々新しくなっていくので、対応する側ももちろん変化していかなければなりません。
日々勉強ですね。

ヤギモク 遠藤