年間暖冷房負荷計算の社内勉強会

先週より住宅の温熱計算の勉強会を始めました。
現在の長期優良住宅基準では、温熱性能は1999年の次世代省エネルギー基準を満たす事が必要であり、そのための検証方法として以下が有ります。

1「仕様規定による検証」
 それぞれの部位の断熱材の種類と性能が、決められた仕様に合っているかどうかを調べます。

2「Q値μ値計算による検証」
 Q値は冬の暖房負荷との相関が有り、μ値は夏の冷房負荷との相関が有ります。
 これらの値を一定以下に抑えることで全体の性能を検証します。
 静岡県ではQ値2.7w/㎡k、μ値0.07以下です。


3「年間暖冷房負荷計算による検証」
 住宅をコンピューター内でモデル化して、建築場所の気象データを使い、一年間に掛かる暖房・冷房の負荷を計算し、基準値以内であることを検証します。静岡県では460MJ/㎡年以下です。


ヤギモクでは本社の実施計画課で2の「Q値μ値の計算」でほぼすべての物件の検証を行っています。しかし、これらの数値は建物の形状により大きく変動します。たとえば、平屋で大きな小屋裏収納空間があり、外周が凸凹していて、更に大きな土間床が有ると、いくら断熱材の性能を上げても計算のルール上、Q値が大きくなってしまいます。そのため中にはそのままではエコポイントを貰えなくなる住宅も出てきます。その時には、3の「年間暖冷房負荷計算」により、更に現実に近いモデル化の計算で検証して確認審査期間に申請します。

今回の勉強会の目的は、この年間暖冷房負荷計算を実施計画課のすべてのメンバーが実行可能にする事に有ります。
これまではこの計算を私がやっていました。そのためちょっとだけタイムリーでは有りませんでした。(涙)

第1回目では、まず温熱計算の基礎部分の話をしました。

この講義は一昨年受講した東大の坂本雄三先生の授業のミニチュア版で、最初は熱の計算にまつわる様々な知識の確認を行いました。
まずは熱量を表す数値を具体的にイメージできるように「カロリー」の話からスタートです。
1calとは1ccの水を1℃だけ温度上昇させるためのエネルギーです。(中学で習いました)
そして暖冷房負荷で出てくるJ(ジュール)やw(ワット)との関係を今更ながらですが勉強しました。

1cal=4.2J、1w=1J/秒、人体は約100w程度の熱量、などは水の温度上昇などのイメージに置き換えると、いつも見ている数値がもっとリアルに感じられるはずですね。

熱の計算では「流量値」と「熱抵抗値」は逆数の関係にあり、電気回路と同じ計算が可能です。
中学で習った電気回路の直列抵抗と並列抵抗の計算の方法から壁体などの熱貫流率の計算のやり方を再確認します。

μ値は室内に入り込む日射量と水平面に照射される水平面全天日射JHとの比率で表されますが、そこにはガラス面を透過する直達日射や方位による係数などの数値の理解が必要です。

最初の講義はこの様な基礎的な話で終わってしまいました。(笑)
モデル化の話はこの後の勉強会で進めていきます。


ヤギモク 遠藤