日本建築辞彙

昨年秋に所属する研究室からメールがあり、「日本建築辞彙」という本が新訂となって中央公論美術出版から出版されたので希望者は申し込むようにとの事だった。研究室でまとめ買いするため安く入手可能との事ですぐに注文しました。その本を先日のゼミの後で入手しました。

これです。

この本は東大の大先輩、中村達太郎氏が明治39年に著し昭和6年に改訂された本の新訂です。これまでこの本は建築用語のバイブル的な存在として活用されてきました。しかし、旧字体であったり誤字の修整や収録内容の追加などを行いこの度復活した物です。

編者は太田博太郎氏と稲垣栄三氏を筆頭に11人の識者が当たっています。
日本建築に関わる用語などの意味を理解する上で必須の辞彙として大変貴重な書籍です。
序文は内田祥哉先生が書かれています。一昨年受講した日本建築史の藤井恵介先生も編者として参加されています。

中を見ると日本建築に関する様々な大工言葉の説明が明治期の文書体で書かれており、分かりやすくするために多くの挿絵が挿入されています。
これまでの自分の理解を、改めて見直す良い手本となるものです。

たとえば「大黒柱」などを見ると、「大極柱」とあり、
「地ならしをなして、水盛りを終え、建物の位置の定まりたる後、その真ん中に柱を建て、祭りをなすを古来からの習慣とす。この柱を斎柱(いんばしら)と称す。俗にこれを大極柱を言う。工事の進むに従い、この柱をその要部に用いるものとす。立初柱(たてそめはしら)とも称す。」
とある。

これまで「大黒天」に由来する言葉だと思ってきましたが、大極殿の柱から発生し、立初柱として祭りをおこなう柱であるとは・・勉強になりますね。


「馬鹿」という言葉が有りました。更に「正直」も有ります。
これらは両方とも「下げ振りの一種」を表す「俗語」として大工の間で使われたようです。


読み進むと結構はまりますね。(笑)

巻末には図集があり、和様、唐様、大仏様、神明造などの各建築様式の図が有ります。

普段なにげなく使っている建築用語の語源や、先達達がどの様に発音していたかなど、この本に対する興味は尽きませんね。
手配してくれた研究室には感謝ですね。


ヤギモク 遠藤