LIXILの構造計算サービス

先日の木材新聞に、LIXILさんが4月から構造計算の新たなサービスを提供するとの記事が有りました。
高耐震でも自由な窓設計が可能とのキャッチコピーでした。
サービス名は「スマートスケルトン」です。


このシステムの強みはなんと言っても窓がとりつく部分の外壁を積極的に耐力壁に取り込む事です。
さすがサッシメーカーのトステムさんが手がけているだけの事はありますね。
読んで見ると、窓台、まぐさに105角の集成材を使用し、柱との緊結にはSS金物、P3金物、TS金物などを使い軸材の応力伝達を可能にして合板を貼り、雑壁を最大限に生かそうという試みです。これ自体、手法としては古典的ですが、これまでサッシメーカーさんがこの様な事をやって自社のサッシの拡販と、更にあわせて自社オリジナル工法を拡張するのは凄いですね。
よく見ると共同開発者として、私の恩師の稲山先生の名前が載っていました。面材耐力壁の詳細計算法の進化形として開口部回りの耐力を評価する技術を確立し特許を出されたようです。
一般的な窓台、窓まぐさでの雑壁は、両サイドに耐力壁があり、且つ一定以上の高さがある垂れ壁、腰壁を耐力要素として取り込む事が可能です。その場合、2.5倍の面材耐力壁に高さ方向の割合だけの掛け率を掛け、更に低減率0.6を掛けるため、たいした要素にはならない物でした。しかし、この記事では1〜2倍程度の耐力が得られる事になっていますね。これは軸同士の緊結をしっかり行い面材のせん断力をしっかり左右の壁に伝達させる事で成り立つ物です。更に写真では外壁の出隅コーナー部分の壁にも使用している様です。こうなると開口部を持った部分の1Pの壁をあるがままに評価して独立した壁として計算していることになります。更に2P窓では連続して8メートルまで連結可能との事です。以前先生が講演の折に木造でもコルビュジエサヴォア邸の様な構造が出来るとおっしゃっていましたがまさにこれですね。面白いです。
確認申請に使用するとなると評価方法は重要ですが、単に耐力壁の水平力換算値を出し、自社参考値として計算に応用するだけならその他の方法でも(実験でも)可能です。ヤギモクでは窓台などをL型金物で緊結して、更に高強度面材耐力壁の実験値を使い層せん断力係数C0=0.35で邸別に計算する事で、長期優良住宅先導モデルに応募して採択された事が有りますが、当社も進化形として更なる構造強度を目指した雑壁の取り込み方を工夫する必要が有るようです。勉強になります。


ヤギモク 遠藤