建築士定期講習

一昨日、締め切りが近くなってきた「建築士定期講習」に参加してきました。
これは「構造計算書偽造事件」以後、建築士法が改正され、設計事務所所属の建築士に3年ごとの定期講習が義務づけられた事により3月末までに初回の受講が義務づけられていたものです。
ヤギモクでも設計にたずさわるメンバー及び現場管理の責任者などを合わせた9名が参加しました。
朝9時より午後5時まで丸一日の講習で、その最後には約1時間のテストも含まれていました。
3年前に管理建築士講習会を受講した際も大勢の受講者が参加し、最後に同様の考査を受けました。
まあ考査と言ってもごく簡単な物で、テキスト閲覧可なので講習中に寝ていても最後に本気を出せばOKと言った内容でした。
しかし講習内容自体はけっこう面白くて、最近の法規の変遷や技術面の話題などもあり一日楽しませてもらいました。

その中で驚いたのは253ページのテキストの中になんと64ページも使い「BIM」の説明が有ったことです。
BIM(ビム)とはBuilding Information Modelingの略で、3次元CADを使ったインテリジェントプレゼンテーションです。
このCADの3次元データに様々な属性を持たせ、設計入力と同時にその他の様々な機能を利用可能にする技術です。



オブジェクト指向CADとの説明が有りましたが、このオブジェクト指向とは、プログラミング言語で、使用する関数やオブジェクトに様々な属性を持たせ、プログラム自体を、より判りやすく可視化しやすくする技術です。
昔はまっていた「Delphi」や「C++」などもそれですが、建築に応用するとは、、、「なるほど」、、と言った感じですね。

建築は非常に多くのアイテムや作業が入り乱れて存在し、とても複雑なプロジェクトです。これらを上手く積算する事や図形化することはまさに数学で言えば同類項をまとめる「因数分解」の様なイメージになります。もちろん標準化や商品化もこれらの因数分解のイメージを突き詰めて行った成果物とも言えます。

テキストではまず現代の建築業界が抱える生産性の低さを説明するところから始まります。

建設業の労働生産性は全産業の平均値と比較しても6割、製造業から比較するとなんと5割とひどい状況であるから、それを打破するためには業務の効率化とインテリジェント化を急速に進めなければいけないと言った内容でした。
話題としては大変面白い内容でしたが、実際にこれらを応用して多様な建設の現場に持ち込むのはかなり大変な事だと感じました。

しかし、大勢の建築士が受講する講習会でこの様な未来像を見せて、イメージの刷り込みをおこなう事は大変良いことだと思いました。
現在の設計業務って実は結構ローテクなのですね。(笑)

ヤギモク 遠藤