要素試験

先週静岡県工業技術研究所で、私の研究テーマである面材による高強度構面のための要素試験を行いました。
4月初旬に9㎜合板の試験を行いましたが、今回は15㎜、28㎜とこれまでより厚い面材の試験でした。

使用した試験機はいつもおなじみの島津製作所のオートグラフです。
これは最大で50kNの荷重が掛けられます。

今回の試験はとても数が多かったため、部材の切り出しは木工屋さんに御願いし組み立てを自分でやりました。
組み立てにはなんと3日間もかかり、更に試験にも2日以上掛かりました。
工業技術研究所の皆さんには本当に感謝です。

これまでは外壁の鉛直構面をイメージした物でしたが、今回の厚物合板は床の水平構面をも視野に入れた試験です。

木造軸組工法では床の剛性も極めて重要な要素です。
床が硬いとそれぞれの耐力壁に比較的均等に水平力が分散し、耐力壁線間の応力伝達もスムーズです。

合板の付き合わせ面を工夫して応力伝達が出来るようにすると、釘の耐力とは無関係に構面が硬くなり、降伏点が高くなります。
これは3月の日本木材学会で発表しました。

厚物合板ではその特徴が更に際立つ事が予想されるため、大変期待していました。
実際に要素試験を行ってみると、薄い合板では靱性が乏しい結果となりましたが、15㎜以上の厚さになると降伏点を越えてからの粘りが大きい事がわかりました。これらの結果は今月29日に行われる研究室のゼミで発表します。

今回の結果を元に構面の面内せん断試験を行うと、高強度で且つぜい性破壊しない耐力壁や床構面ができると思います。
楽しみですね。

ヤギモク 遠藤