床勝ち面材耐力壁の試験 その2

面内せん断試験の2日目は昨日の続きからです。
林業技術研究所は朝から猛暑で、絶好の耐力壁試験日和?です。


この木造の試験棟が太陽の熱で溶けそうな気がしますね。

昨日の疲労が残り若干筋肉痛ぎみで、朝から多少歩き方がぎこちない私でしたが、そんなことは言ってられません。
とにかく真壁仕様の最後の1体を試験し、その後エピオス用の高倍率耐力壁(大臣認定)の床勝ち仕様へ続きます。


まずは皆で試験体を作ります。

オレンジ色のTシャツの実施計画課の大原課長はヤギモクのすべての構造計算に関わっているエキスパートです。長年ヤギモクの様々な試験に参加しており、それらから得たデータを元に高度な構造計算を実行しています。
実はこの様な地味な努力が大切なのです。



やっとの事で1体目のセットが完了しました。
なんか、壊してしまうのがもったいない感じですね。(笑)



結果はこんな感じでした。

まだ本日の2体目なのに、私はなぜかもうろうとした様子ですね。


やはり足元の引き抜きが大きく、引き抜き側の合板は上方へ突き上げられます。

圧縮側は真壁仕様と同様にめり込んでいます。


その時、試験機の横に見覚えのあるホールドダウン金物が付けられた古い試験体を見つけました。

なんとこれは私たちが2年前にここで試験した、静岡県産材ヒノキ合板とヒノキ柱による試験体でした。
国土交通省の長期優良住宅・先導モデルの2度目の採択をいただいた時に、県産材高倍率耐力壁の試験データを使った構造計算を実行するとの提案が通り、実際に試験したデータをその後の採択物件の計算に使いました。
確かこれは5.8倍程度だったと記憶しています。やはりこの試験の日も記録的な猛暑で、世の中がすべて溶けてしまうのではないかと思われるくらい辛い1日でした。
その日の翌週に川勝静岡県知事がこの施設の視察に訪れるとの事で、どの様な試験をやっている装置なのかを説明したいから、1体だけ試験体を置いていってくれ、との申し出があり、そのまま置いていった物でした。

しっかりと試験体名も確認できます。これはN50釘で行った参考資料用の試験体です。

このホールドダウン金物は鍛冶屋さんに頼んで特注してもらった物でした。
この時はそれぞれの足元の引き抜き力もデータ取りするため、ワンホール型のロードセルを取り付ける必要が有り、ホールドダウン金物をいつもの2面付けではなく、大型金物の1面付けで試験したためです。

これがその時の様子です。
http://d.hatena.ne.jp/aldy/20100920/1284953100


翌日から別の試験が有るとの事で、何が何でもすべての試験を今日中に終わらせなければなりません。
まあ何とか6時頃までにすべての試験(4体)が終了しました。


速報値のグラフがすぐに出ました。

これだとP-maxはそこそこ高いのですが、どうもDSで決まりそうですね。

翌日に試験結果が送られてきましたが、バラツキを評価したそれぞれの結果は、真壁仕様が3.7倍、エピオスの大壁仕様が4.8倍でした。
これに低減率を掛けるので、多少下がりますね。

まあ、予想通りの結果でした。

これを今後のヤギモクの構造計算に使用するため、報告書形式で文書を作成します。

これにより、今後の計算が楽になります。



ヤギモク 遠藤