静岡県UD・工芸研究会講習会 人間中心設計の発想法

先週、静岡県工業技術研究所のUD・工芸研究会が主催する講習会が静岡市内のグランシップで開かれました。
今回は「人間中心設計に活用できる発想法−体験のデザインを通じて」と題し、(株)グラグリッドの三澤直加さんに講師をお願いし、講演とワークショップをおこないました。

物づくりにおいて何を開発すべきか?との問に、どうしても技術的な優位点を商品に盛り込み、他社との差別化を行う事が先行しがちです。
これはこれまでの日本が繁栄してきた原点としての発想ですが、これからの物づくりでは、ユーザーが何を欲しているのか、どの様なサービスが多くの人に支持されるのかを探る当てる事こそが開発の出発点となるのです。
その、求められるサービスや喜ばれる価値観をどの様な手法で探し当てるかを具体的な手順に従ってワークショップ形式でグループディスカッションをしながら体験する事がテーマです。
まずは講師の三澤先生から、「体験をデザインする」こととは?について講演を頂き、さっそくグループディスカッションです。
これはユーザーの体験に着目し、言葉や単純なキーワードに置き換え体験を理解する事からスタートです。

ワークショップ1では「ユーザー像をとらえる」として、ユーザーの様々な考えや置かれている立場からその人の価値観を想像します。
私の参加した「Eチーム」で考えたユーザーは、シンガーソングライター吉田ゆかりさん22歳で、若くして自作の曲がヒットして、次のヒットを生まなくてはならない立場の人を想定しました。

4人でブレーンストーミングをすると様々な意見が次々と出て、かなり具体的な人物像が出来ました。

次に、そのユーザーがほしがるサービスや製品を考えてるステップに移ります。
ワークショップ2では、「サービスシナリオを発想する」として、人が日常的に体験するちょっとしたキーワードを各参加者に与え、そこからどの様なサービスが生まれるのか、言葉遊びとも思えるようなキーワードの組み合わせで、様々なサービスや商品を考えます。その時点では、その商品を実現する為の技術的な裏付けは考えません。

ワークショップ3では、「サービスシナリオを描く」として、コマーシャルビデオに使えるような「シナリオ」を作ります。これをやると、そのサービスの価値がどの様な物なのかが極めて具体的に表現出来ます。

最後は、創作したシナリオの発表です。

発表は時間の関係で2題でしたが、それぞれユニークで面白い内容でした。参加者の発想力が試される瞬間ですね。

何もないところから、求められるサービスをブレストで発想すると言う手法はこれまで経験することが有りませんでした。
大変良い経験をしました。

UD・工芸研究会ではこの様に、実際に手を動かし、体験することで新たな手法を身に付けるワークショップを多く開催してきました。
平成24年度の講習会は来春にもう1回開催予定です。

多くの会員が参加して良かったと思う様な講習会を目指してこれからも頑張っていきたいですね。
今回もしっかり準備をしていただいた工業技術研究所の事務局の方々には感謝です。

終了後には、恒例の交流会(忘年会)です。
県が開催しているコンペに受賞した会員企業さんの報告も行われ、懇親を深めました。


ヤギモク 遠藤