盛岡散策その2

木材学会の終了後、短時間の市内散策をしました。
まず目に飛び込んで来たのは、東大の大先輩である辰野金吾・葛西萬司両博士の手がけた岩手銀行(旧盛岡銀行)でした。

赤レンガと白花崗岩コントラストがとても華やかですね。ルネサンス様式だと思われますが、窓のセミサーキュラーアーチなども大変綺麗な状態です。
ピラスターの頂部にはイオニア式の飾りが上部のペディメントを支え、その上にはキューポラのあるドームが乗っています。
このドームの部分を見ると、辰野金吾博士の代表作の東京駅のルーツがすでに見られますね。


避雷針の意匠もおもしろいですね。


窓周りはきちんと造られ、木製の窓がはまっています。

上部の赤レンガはかなり痛んでいますが当時の職人さんの気合いが感じられますね。
竣工が明治44年ですから、この様な大規模な組積造を造ることの出来る職人集団もそれなりに居たのでしょうが、やはり専門職としてあちこちの現場を渡り歩いていたのだと思います。



次に現れたのは葛西萬司氏の盛岡信用金庫本店でした。
先ほどの岩手銀行のすぐ近くにありました。
昭和初期の建物です。

RCの躯体に花崗岩を張り付けた仕上がりで、コラムの周囲も綺麗に仕上がっていました。
スチールサッシも当然オリジナルなのだと思いますが、大切に使われていることが判ります。
歴史的な意匠を近代的なデザイン手法で処理したモダンな建物です。


この建物は現在でも使用されていて内部ものぞかせて貰いました。

入り口のアルミ製の自動ドアが興ざめですが、そのほかは大変綺麗な状態でした。

突然乱入した見物客達にいやな顔をせずににこやかに応対してくれる行員のおねえさん方が印象的でした。
私たちのような建築フェチが良く来るのでしょうね。

盛岡市内のこの辺りではこの様な歴史的建造物がシリーズで並んで建っているため大変興味深い散策になりました。

ヤギモク 遠藤