盛岡散策その3

盛岡信用金庫の見学の後、道沿いに奇妙な光景が現れました。

古い木造建築物の屋根上になにやら別の屋根が乗っていました。
これはおそらく・・・ そうです、「うだつ」です。
うだつとは隣家との境界に建てる防火壁の事ですが、次第に形式的な要素が強まり、富の象徴としても扱われる様になって来ました。
しかし、このうだつは、防火壁としての役割を優先した形となっていて、しっかり役立ちそうですね。
こんな大きなうだつは初めて見ました。
この古い木造は現在も荒物屋として使われており、私たちは吸い込まれるように店の中に入っていきました。

店のご主人に聞いたところ、この建物は200年前に建築され今に至るとの事です。
裏にはなんと4棟の倉が有りました。

すぐ後ろの倉は店の倉庫になっていて、現在も立派に機能しています。
更に奥には別の倉がそのまま続いていました。
その2つの倉の屋根部分を後から繋いだのでしょう。

裏庭に出ると周囲を囲むように倉が並んで建っていました。


おそらく凄い資産家だったのでしょう。
塩焼き瓦と思われる古い瓦が使われていました。
戦時中には、白い漆くい壁では空襲の目標にされるからと、表面に墨を塗ってグレーに着色したそうです。
軒下には長い丸太が吊してあり、昔こいのぼりを上げるために使ったと聞きました。

店の床には年期の入ったタイルが使わせており、その目地はタイルがすり減るのを緩和するためなのか、スチールが使われていました。

床も塩焼きのクリンカタイルと思われます。もちろん今では製造されていません。

みんなでご主人に御礼を述べ店の外に出ると、しっかりプレートが貼ってありました。

外部の格子が美しい表情です。

漆喰の外壁には今でも墨がしっかり残っていました。

その道沿いを更に歩くと古い望楼のある消防の番屋がありました。

大正時代の建築です。

その横には南部せんべいを売る店があり、ちょっとのぞいてみました。

中にはいると昔懐かしい昭和のグッズが飾ってありました。レトロです。

氷を入れて冷やした冷蔵庫もありました。

その上においてあるのは真空管ラジオです。

ラジオの正面のプレートには「SUPER」の文字が見えます。おそらく5梂スーパーですね。
私も中学の時に夢中になって作った想い出があります。

ちょっと歩いただけなのですが、おもしろい景色が次々と現れ、なぜかちょっと得した気持ちになりました。(笑)


ヤギモク 遠藤