背割り柱にも使える接合金物

先日グランドワークスの大倉社長から、新しい接合金物の試験結果が送られてきました。
これは当社が試験体を送り、グランドワークスさんにて試験を実施してもらった物です。実際に試験を行ったのは富山県農林水産総合技術センターです。
この金物は管柱の両端に取り付け、金物接合のホゾパイプとして利用できる物です。いわば、「金物版やといほぞ」です。

金物接合は元々構造用集成材を対象として開発されたシステムです。しかし地域材の利用促進が叫ばれる中、無垢柱への利用が求められるようになってきました。
無垢の柱を金物接合で使うためには、人工乾燥でしっかり乾燥させた背割り無し材を使用します。背割りの有る柱では、ドリフトピンとの干渉が有り使用できません。
乾燥方法は最近確立された高温セット乾燥(ドライングセット)が主流です。この乾燥方法では節のない役物柱も乾燥可能ですが、色合いが若干くすんだり、木の香りが弱まるなど問題も有ります。また、表面にひび割れを起こさない事がドライングセットの利点ですが、中には表面割れを起こす柱も出てきます。これは密度と強度が高い材料に多い傾向が有ります。しかしひび割れた柱は化粧柱としての価値が無くなるため製造にはリスクが伴います。そのため製材業者が手を出しにくい分野なのです。
せっかく地域の無垢材を使った住宅を建てるのに、和室の柱は化粧集成柱では興ざめです。そこで、これまで利用できなかった背割りの有る化粧柱をなんとか金物接合で使用できないか、と言うのか今回のチャレンジです。


送られてきた資料には「短期基準耐力15キロニュートン」と有りました。

実際に構造計算で使用するのは短期許容耐力ですが、「短期許容耐力=短期基準耐力×低減率」であり、この場合ぜい性破壊は無かったため、低減は有りませんので、そのまま構造設計に15キロニュートンが使用できる訳です。これは大変都合の良い結果です。これにより、今後化粧柱に背割り柱を部分的に利用可能になりました。