合板耐力壁の要素試験

一昨日、静岡県工業技術研究所で合板耐力壁の要素試験を行いました。


現在、地域循環型住宅が脚光を浴びています。
その材料はこれまで県産材の柱や梁などの製材品のみでした。しかし今年から静岡県の県産材認証の取れる針葉樹合板が登場し、県産材利用の間口が広がりつつ有ります。そこで、新たに出てきた県産材合板を使った耐力壁の特性を確認して、更に高度な使用方法を模索するためのチャレンジが必要です。

地産地消住宅は「環境保護」や「エコ」を全面に出して、消費者のイメージに訴えてきました。しかし大切なことは、どの様な材料を使用しても、更にこれまでよりも高性能で強い建物を造る事です。そのためには当然多くの工夫が必要になります。


まずは通常の組み合わせです。
一級合板であるアピトン、ラワン合板(表面アピトン、中ラワンの5プライ)+杉柱+CN65釘の組み合わせ


次に県産材合板(ヒノキ、スギ、ヒノキの3プライ)+杉柱+CN65釘
針葉樹合板はどうしても柔らかくて強度も弱くなります。


一級合板であるアピトン系の合板は高強度なので数値も高くなります。
しかし釘が太くて長いCN65なので、釘の頭抜けで終局が決まります。


県産材合板もかなり健闘しました。これなら充分使用可能です。
破壊性状もアピトンと同じ頭抜けになります。これは合板が柔らかいので当然の結果です。


研究室の相馬先生が先日おっしゃっていましたが、N50釘(CN65より短くて細い)は針葉樹合板との相性が良く、実は粘りを上手く利用するための黄金比の様なものです、との事でした。つまり、N50なら釘自体が柱から抜けながら抵抗するので粘りが出る、と言うわけです。もっともです。しかし、それ以上の強度を狙うのであれば、太め釘を使う場合の問題点を補強しつつ、都合の良い組み合わせを見つけなければなりません。


それが今回のポイントです。
実はこの後、工夫した試験体を4種類試験しました。全部で6種類12体の試験体での試験でした。今回も作るのは大変でしたが、壊すのはあっという間です。
そして、後口の4種類は大変良い結果がでました。(特許の問題も有るのでブログでは書けません)
今後、これらの技術を組み込んだ実大の耐力壁試験に臨みます。そして壁体としての性能を評価します。
楽しみです。

ところで、今回取ったデータは来週の研究室のゼミで発表します。
資料の整理が大変です。