耐力壁ジャパンカップへの道 その1

世の中にはおもしろい競技が有ります。
木造住宅の耐力壁同士を2体並べてその強さを競う「耐力壁ジャパンカップ」がそれです。これは木の建築フォーラムが主催して平成十年から続いていますが、ルールの改正を続けながら、有る意味、競技自体も進化しながらこれまで続いてきました。
今年はその、耐力壁ジャパンカップにヤギモクもチャレンジします。
今年の春、稲山先生から遠藤さんも参加してはどうですか?と水を向けられ、静大の小林さんとタッグを組んだらきっと強いチームになりますよ、とおだてられたのが発端でした。
そこでさっそく小林さんに相談して、参加することになりました。


チーム名は、「ヤギモク・静大チーム」です。
ちょっとださいネーミングですが、判りやすくて良いと思っています。
7月に小林さんと、どんな耐力壁を造ったら稲山先生に対抗できるのか相談しました。何せ、先生の造る耐力壁は昨年46KNもの終局耐力をたたき出した想像を絶する強さです。
そこで私たちはクロスラミナパネルという3層のパネルを桧で造り、それをおもいっきり強く緊結して、パネルの剛性と柱脚の耐力でもたせようと画策しました。


そこで今回はまず足元の緊結が上手くいくかどうかの要素試験をやりました。
今年から金属部品の仕様量の上限が3㎏までとなり、昨年より1㎏減ったので、柱脚の緊結は金属ではなく、パラ・アラミドの繊維を編んだベルトが使えないか考えました。


試験体はこんな感じです。
ベルトを二面せん断にして金属プレートをかぶせてビスで留めます。


これを静大の万能試験機に掛けて終局耐力を測定します。
耐力も大きいため50KNの試験機では測定できません。そこで最大250KNの試験が可能なこの装置を使います。

Pmaxもどの程度出るのか判らないため留め付けも厳重です。

みんなで見守ります。


結局72KNで破壊しました。ビスを打った傷から繊維が破断しています。

ビスが多いので解体も一苦労でした。



土台にベルトがめり込んでいます。


本番では土台の下側に堅木のプレートを噛ませてめり込みを防止する必要が有りそうです。


この試験の後、小林さん達が分解した試験体を再利用して一面せん断の試験をやってくれました。
傷の入ったベルトの再利用なので、50KN程で切れましたが、ビスの部位は問題が有りませんでした。とりあえず試験の結果から、一面せん断でも耐力的には変わらないだろうとの結論になりました。
しかし、この耐力では足元緊結だけでは対応できないはずです。

柱頭にもそれなりに力を分担して貰う事が必要です。

締め切りも迫ってきました。
何とかアイデアを出して良い耐力壁にしなければなりません。
もう少し工夫が続きます。

ヤギモク 遠藤