建築研究所見学 その2 誰もいない室内でドアやカーテンが動く・・ポルターガイストか?

LCCM住宅の次に見学したのはこのありふれた3階建てのRCの集合住宅でした。

この見学会の案内メールに「ポルターガイスト」の文字が有ったのですが、どうやらこの建物の中に「それ」は居るらしい、との事です。


玄関を入ると狭い廊下が有り、典型的な公団型の3DKの賃貸住宅の様でした。
さっそく狭い廊下の真ん中に温度測定用のポールが立っていて通行を邪魔します。

垂直方向の温度分布に加え、グローブ球での輻射熱を含んだ体感温度も測定していますね。

突き当たりのDKにはなにやら怪しげな物体が有りました。

よく見ると「人体君」と書いてあります。 おお〜!! これがもしかしてポルターガイストの正体か?  しかし じっとして動く気配もありません。
実はこの「人体君」とは、人体から発する熱を発生する装置なのでした。これは顕熱だけではなく潜熱(水蒸気)も出します。人の呼気などもリアルに再現する事が出来るのです。人間一人は約100ワット程度の熱量だと坂本先生の授業で習いました。これらが熱的な模擬人体として室内に置かれているのです。
この住戸の住人は4人の設定でした。

夫婦と二人の子供が生活しているという設定なのです。
そうすると他にも家族が居るはずです。

これで、全部で4人ですね。
その横にはなんと「調理君」も有りました。

ちゃんと鍋も有り、どうやら顕熱と潜熱の疑似調理を行うようです。私たちの行ったときは調理中では無かったので実演は見れませんでした。(残念)
それぞれのドアにはこの様な開閉装置がついています。

ポルターガイストの正体は、これらの自動装置がプログラムによって生活している様子を再現していたのですね。
隣の和室には人体君が2人います。ここが両親の寝室なのですね、きっと。

障子はもちろん開閉装置付きです。

エアコン類もすべてオンオフ制御だけではなく温度の調整も行えるようになっています。
家電類はこの様な「模擬家電」が熱を出します。

お風呂もしっかり湯張りをして、蓋を開けて入浴する様です。

キッチンや洗面もそれぞれ水や湯を使う設定です。

子供部屋にもそれぞれ人体君と模擬家電がおいてあります。
今回特別にカーテンやサッシの開閉を実演して貰いました。

するすると静かに動くカーテンを見て、おお〜!!と歓声が上がります。(笑)

隣の住戸にはこれらの制御システムが有りました。
これがポルターガイスト達の管理をしている「プログラマブル・コントローラー君」です。

そしてこれが電力量を集中管理しているリレー盤と電流センサーです。各回路毎にしっかりセンサーがぶら下がっていますね。

この集合住宅のデータはすでに3年程度行っており、平均的な家族構成でのエネルギー使用量と室内温度環境を調べているとの事でした。

実は私の家にもプログラマブルコントローラーが1,2階に設置されています。照明器具制御やキッチン回りのエアーシリンダーによる戸棚の上げ下げ、ゴミ箱の開閉、浴室の気泡浴槽、巨大なガラス天窓のエアーによる開閉など様々な部分のコントロールに使っています。しかし、メンテナンスをサボってきたので、次第に各アイテムが動かなくなり、現在では照明器具のコントロール程度が可動している状態です。
この実験のプログラムは誰が書いているのかと聞いた所、外注に出しています、との解答でした。
やはり何事も運用が大事だと感じました。(笑)

おもしろい設備を見せていただきました。

ヤギモク 遠藤