SGLカーボン社 見学 その1

BAUメッセの会場から車で1時間ほどの所に 目指すSGL社がありました。
ここは世界最大規模の「カーボン」の会社です。

カーボンと言うと私たちの生活の中では、釣り竿やゴルフクラブなどのカーボンロッドがおなじみですが、実は製鉄やアルミの精錬など、基幹産業に無くてはならない重要な素材なのです。

普段あまりおなじみではないカーボンのことをSGL社のご厚意で勉強させていただきました。

案内されたショールームでまず私たちの目を引いたのは、製鉄用の大きなカーボンの固まりでした。

これは、鉄スクラップを電気を使って溶融する装置に使用される陰極(カソード)です。
鉄を溶かす際には、その電極は3000℃の高温になります。この様な高温に耐えられる素材はカーボンだけなのです。
しかしカーボンと言えども、その様な高温では昇華して徐々に減っていきます。そのためにつなぎ合わせて常に足して行く必要があるのです。
実はこの黒鉛の棒を造るにも高温での焼成が必要になるのです。

また、これはアルミ精錬用のカソードです。

そしてこれは、シリコンウエハースのインゴットを引き上げる装置に使用されているカソードです。

インゴットの周りの丸い枠がカーボン製ですね。
アルミやシリコン用のカソードは、製鐵用の物ほど減らないとの説明でした。

そのほかにも、様々な部品類が並んでいました。

炭素繊維の製品も多く展示してありました。

これは飛行機の床に使用される梁ですが、非常に軽量で、片手で簡単に持ち上がります。

また、これはアウディーのスポーツタイプの車に使用されているカーボンファイバー製のドアです。

カーボンファイバーは元もと日本生まれの素材ですが、多くの技術開発により、いまや最先端技術の一つなのですね。
これらの炭素繊維は軍事的な戦略物資に指定されている物などもあり、時々日本でも不正輸出の話題が出る物騒な物でもあります。
日本はこの分野ではまさに世界トップクラスの技術を保有している訳ですが、ドイツも負けてはいませんね。

これは、コンクリート製のデスクとチェアーです。

使われているのは大変薄いコンクリートですが、その表面を炭素繊維で補強してあるため、充分実用になります。

このショールームで30分ほど簡単なレクチャーを受けましたが、これまであまり気にしていなかった分野に様々なカーボン部品が広く使用されていることに感動しました。

ヤギモク 遠藤