SGLカーボン社 見学 その2

SGLカーボン社での研修のメインイベントは、同社が開発したECOPHIT(エコフィット)と呼ばれる商品の説明でした。


ショールームの2階で行われたプレゼンでは、イケメンのプレゼンター Mr. Matthieu Neth がドイツ訛りの英語で解説してくれました。

今回のメッセでは断熱に関する情報が非常に多く見られ、熱損失を最小化するための技術が多く展示されていました。しかし、このプレゼンでは熱伝導率を下げるのではなく、非常に熱を通しやすく、軽量で加工しやすい素材についての説明でした。

その素材とは、もちろん「カーボン」です。

ここで使用されるカーボンは、ナチュラグラファイトと呼ばれる鉱物として多く採掘されます。
これをエキスパンデッド・グラファイトに変える所から始まります。

このナチュラグラファイトを1200℃以上の高温で処理すると、グラファイトの分子構造が変化し、300〜400倍の体積を持つエキスパンデッド・グラファイトに変化します。これは非常に軽いふわふわした素材です。


これは、プレゼン中に渡されたエキスパンデッド・グラファイトを紙の間に挟んで手で押さえて薄くした物ですが、この様に簡単にシート状になります。
このシート状、もしくはパネル状にした素材の熱伝導率が極めて高い数値になるのです。

この一覧にあるように、Thermal conductivity(熱伝導率)での比較では、フォイル状で100〜270w/mK、高密度シート状では250〜500W/mKです。
銅の380、アルミの220W/mKと比較しても遜色ありません。

密度の比較では、高密度シートでも2g/cm3と、金属に比較して大変軽いのです。

これを銅管を仕込んだパネルに圧縮成形するだけで輻射熱放射パネルができあがります。

日本では熱伝導率の高いアルミ箔や銅箔が均熱パネルとして使用されますが、箔が薄いと効率が悪く、大量の熱を放出出来ません。

ヨーロッパでは古くから天井面の輻射熱暖房が普及してきました。天井高さの高い大きな空間を均等に暖房するための装置として、軽くて扱いやすいエキスパンデッドグラファイトは大変優れた素材なのですね。

今回のプレゼンルームの天井にももちろん設置されており、大きなプレゼン室全体が非常に心地よい環境になっていました。
今後日本でも公共建築物などにこの技術が利用されると思います。

最後に全員で記念撮影をして、見学を終わりました。


ヤギモク 遠藤