Two-Rail Shear Method によるせん断試験

先日、日本木材学会の発表用のデータを充実させる目的で、以前から取り組んでいる合板耐力壁のせん断試験をやりました。
自宅の居間で毎晩夜なべで試験体を作成し、会社を2日間も休み、おなじみの5号館地下の実験室に立てこもりました。
久し振りのせん断試験なので気合い充分で臨みました。
事前にオートグラフの取り付け部分をチェックしてあったため、セッティングはとんとん拍子で進み、学部生の中君の手助けもあり、1日目の昼過ぎには一体目の試験です。
ここまでは、まさに楽勝ムードでした。

しかし、今回は厚さ15ミリの合板だったためせん断面が強すぎて、治具が回転してしまうと言うハプニングが起きました。

回転だけではなく、治具その物が応力により変形し始め、大ピンチです。
せっかく4種類×3体で計12体の試験体を持ち込んでの試験なので、時間を浪費するわけにはいきません。
相馬先生や稲山先生に相談し、とにかく変形を矯正してみる事になりました。


しかし、残念ながら上手くいきません。
時間だけがどんどん過ぎていきます。結局時間切れで今回の試験は断念です。何のための2日間だったのか・・・(涙)


いやいや、こんなことでひるむ訳にはいきません。
別の試験方法でもう一度せん断試験に挑む事にしました。

それはTwo-Rail Shear Methodと呼ばれる試験方法です。
アメリカではわりとメジャーな方法らしいのですが、日本ではあまり使われていないようですね。
なぜか今回の試験に使ったオートグラフのすぐ横に、できたてほやほやの試験用治具がおいてあったのです。
おお!! 神の救いとはまさにこの事。
この治具の持ち主は木質構造学研究室の福山さんでした。
さっそく電話で使用許可を取り、新たな手法にチャレンジ決定です。

自宅に戻り、さっそく段取りを始めました。
翌日合板を含む試験体材料を再手配し、それをまたまた夜なべして試験体製作です。
あっという間にしんどい3日間が過ぎ、再度5号館地下です。

今回の試験体は準備時間の都合で5体です。

オートグラフに取り付けた様子はこんな感じです。

ステキです。おニューの治具が輝いていますね。持ち主より先に使ってしまい福山さんごめんなさい。

そんな訳で、何とか学会用の良いデータが取れました。
半日の予定で猛スピードで試験しましたが、結局新幹線の最終の時間が来てしまいタイムアウトです。
最後の1体はなんと相馬先生にお願いして帰宅するという始末でした。
先生、申し訳ありませんでした。

おかげでしっかりしたデータが取れました。

今回は合板のみの試験もやりました。
これです。

合板がせん断破壊した様子です。

秀逸な試験です。合板がこんなふうにせん断破壊される様子は滅多に見られませんね。

そのお宝映像がこれです。




ヤギモク 遠藤