キコラにウォールナットが新入荷

掛川市倉真にあるヤギモクの「銘木逸品市場キコラ」では、人気の樹種であるウォールナットが新入荷しました。




世界的に家具や内装材として人気のあるこの樹種は次第に幅広材が入荷しにくくなっているのです。
北米東部から出材されるのですが、現地でも良材は徐々に少なくなっているようです。

最近では床材としても多く使用されるようになり、3層フローリングなどで住宅への利用が多くなってきました。

キコラでは開店当初より、ウォールナットをたくさん扱ってきましたが、改めて店内を見渡すと、けっこうたくさん使われていました。

その多くがテーブルとして使用されています。


テレビボードやデスク、キャビネット、リビングテーブル、パーティション、チェアーなど、用途は様々ですね。





変わり種としては、なんと洗面ボールまであるのです。


これは念入りな塗装で仕上げられており、木材なのですが長期間使える逸品です。

また、小物類にも使われています。

店内をぐるっと一週すると、まだまだたくさんのウォールナットに出会えます。
ぜひ、多くのお客様に無垢のウォールナットを触っていただき、その良さを再発見してもらいたいものです。


ヤギモク 遠藤

柴田杏里静岡ギター教室発表会

今年も発表会の季節がやってまいりました。
私が通う柴田杏里先生の教室の発表会です。

会場は毎年おなじみの、静岡駅前のAOIホールです。
ここは弦楽器との相性が非常に良く、素晴らしい音響です。

朝9時半頃会場に到着すると、すぐにステージでの練習でした。

私の今年の演目は、J.S.バッハ無伴奏バイオリンパルティータ2番のアルマンドジーグです。

アルマンドは昨年12月のギターフェスティバルで演奏したため、気持ち良く弾くことが出来るのですが、問題はやはりジーグです。
これがその楽譜です。

忙しくて楽譜を作る暇が無く2日前にやっと繋がった一枚の楽譜にしました。
そのため、見慣れない楽譜にちょっと違和感?があります。(汗)

ジーグは組曲の終曲などに良く用いられる3拍子もしくは3拍子系の変拍子の舞曲(バッハの場合は曖昧な曲もありますが)で、ある程度以上のスピードで弾くとかっこいいのです。
組曲の最後を盛り上げるために一気呵成に弾ききる必要があるのですね。

しかし、いつも通りの練習不足もあり、なかなかバイオリンの様に弾けません。
ギターの方が楽器が大きいので小回りが効かないのはしょうがないのですが、早いパッセージが苦手な私にはハードルがちょっと高めです。(笑)

リハ室に戻り先生に、今更悪あがきしても仕方ないですねぇ・・などと言ったら、遠藤さんの場合ふだんの練習量が少ないので、最後まで諦めずに練習すべきです、と言われてしまい・・・おっしゃる通り・・と思い直し、ギリギリまで練習を続けました。


あっという間に本番の時間となり、いつものように舞台そでで待機です。

私の演奏順は、なんと1部の2番目でした。
今年はなぜかバッハを弾く人が4人もいたため、私がバッハのトップバッターでした。

本番は途中でいろいろありましたが、大きく崩れること無く、なんとか無事に終わりホッと一安心でした。


実はこの教室の演奏レベルはとても高く、みな大曲を弾きます。
最後の永田さんなどは、あろう事か「アランフェス協奏曲」をピアノ伴奏で全曲弾くなど、練習嫌いな私から見れば暴挙、いや快挙を成し遂げ、凄いの一言でした。


最後は先生の演奏で盛り上がり、感動の内に会は終了です。
観客を見送った後、いつものようにステージで記念撮影です。

みんな一年間の成果を出し切り晴れ晴れした表情です。ご苦労様でした。
この後、恒例の打ち上げでしたが、大変楽しいひとときを過ごすことが出来ました。
また来年もAOIホールの予約が取れたため、一年後の発表会まで充電ですね。


ヤギモク 遠藤

稲山先生の現場検査

先日、裾野市で建築中の根上邸の建築現場に稲山先生が視察に訪れました。
この建物は施主さんが設計し、私が通っている東大木質材料学研究室の稲山教授が構造を担当した非常に特殊な住宅です。
先生からは、構造が確認できる段階で一度確認に来たいとの申し出が有り、現場を案内しました。

現場は養生のため、外部がブルーシートで覆われ、室内が薄暗い状態でした。
施主の根上さんにも意匠設計者として構造検査に立ち会っていただきました。

この建物の構造はとてもユニークで、南面には全く木造の壁がありません。
そのためRCの躯体に南面の木造の水平力を負担させ、両端の太い柱の曲げ剛性と北側の壁との剛性のバランスを取っています。
また、屋根は張弦梁を掛けて8メートルのスパンを支えています。




このフォークエンドは根上さんのアイデアで、張弦梁が将来垂れた場合を想定し、下弦材のロッドを締め直す機構を加えました。
ロッド先端のフォークエンド側が左ねじで、反対側の端部が右ねじになっています。
そのためターンバックルの原理で締め増しが可能です。

先生からいくつか指摘事項が有り、部分的な補強を加える事にしました。
全般的には良好で、施主さんには安心いただき、先生から現場の状況を大変褒めていただきました。


夏には研究室の学生をつれて見学に来るとおっしゃっていただきました。



建て方直後の状況です。
http://d.hatena.ne.jp/aldy/20130424


ヤギモク 遠藤

盛岡散策その4

南部せんべいを購入した後、岩手県公会堂に行きました。


昭和2年に竣工したこの建物は、早稲田大学佐藤功一博士により設計されました。
近寄って見ると、全面にスクラッチタイルが使われています。

フランクロイドライトが帝国ホテルの建設にスクラッチタイルと大谷石を使ったことは有名です。
関東大震災の後、このスクラッチタイルの使用が流行しました。
1920年、30年代に多く使われ、その後衰退していきます。
佐藤功一博士の設計した日比谷公会堂早稲田大学の大隈講堂にもこのタイルが使われています。
このタイルは現在でもイナックスが製造していますね。
私も何度か使いましたが、豊かな表情が表現でき、当時流行した事が理解できます。

中に入ると模型がおいてあり、創建当時の資料が展示されていました。

竣工の一年後に行われた陸軍の演習に、昭和天皇も視察に訪れ、この建物が大本営と御座所になりました。
階段の脇にその当時の写真が展示されていました。

今でも使用されているため自動販売機がおいてありました。
その販売商品がとてもローカル色豊でした。

私はしずくいしの「トマリン」を飲みましたが、トマトとりんごのマリアージュ?でした。



次に、有名な石割桜を見に行きました。

樹齢350年ほどと書いてありましたが、石の割れ目から巨木が生えている姿は衝撃的でした。
側でよく見るとちょっと痛そうですね。

この時にはまだ時期が早く、咲いていませんでした。


散策はおよそ3時間程度でしたが、とてもおもしろいコースでした。


ヤギモク 遠藤

盛岡散策その3

盛岡信用金庫の見学の後、道沿いに奇妙な光景が現れました。

古い木造建築物の屋根上になにやら別の屋根が乗っていました。
これはおそらく・・・ そうです、「うだつ」です。
うだつとは隣家との境界に建てる防火壁の事ですが、次第に形式的な要素が強まり、富の象徴としても扱われる様になって来ました。
しかし、このうだつは、防火壁としての役割を優先した形となっていて、しっかり役立ちそうですね。
こんな大きなうだつは初めて見ました。
この古い木造は現在も荒物屋として使われており、私たちは吸い込まれるように店の中に入っていきました。

店のご主人に聞いたところ、この建物は200年前に建築され今に至るとの事です。
裏にはなんと4棟の倉が有りました。

すぐ後ろの倉は店の倉庫になっていて、現在も立派に機能しています。
更に奥には別の倉がそのまま続いていました。
その2つの倉の屋根部分を後から繋いだのでしょう。

裏庭に出ると周囲を囲むように倉が並んで建っていました。


おそらく凄い資産家だったのでしょう。
塩焼き瓦と思われる古い瓦が使われていました。
戦時中には、白い漆くい壁では空襲の目標にされるからと、表面に墨を塗ってグレーに着色したそうです。
軒下には長い丸太が吊してあり、昔こいのぼりを上げるために使ったと聞きました。

店の床には年期の入ったタイルが使わせており、その目地はタイルがすり減るのを緩和するためなのか、スチールが使われていました。

床も塩焼きのクリンカタイルと思われます。もちろん今では製造されていません。

みんなでご主人に御礼を述べ店の外に出ると、しっかりプレートが貼ってありました。

外部の格子が美しい表情です。

漆喰の外壁には今でも墨がしっかり残っていました。

その道沿いを更に歩くと古い望楼のある消防の番屋がありました。

大正時代の建築です。

その横には南部せんべいを売る店があり、ちょっとのぞいてみました。

中にはいると昔懐かしい昭和のグッズが飾ってありました。レトロです。

氷を入れて冷やした冷蔵庫もありました。

その上においてあるのは真空管ラジオです。

ラジオの正面のプレートには「SUPER」の文字が見えます。おそらく5梂スーパーですね。
私も中学の時に夢中になって作った想い出があります。

ちょっと歩いただけなのですが、おもしろい景色が次々と現れ、なぜかちょっと得した気持ちになりました。(笑)


ヤギモク 遠藤

盛岡散策その2

木材学会の終了後、短時間の市内散策をしました。
まず目に飛び込んで来たのは、東大の大先輩である辰野金吾・葛西萬司両博士の手がけた岩手銀行(旧盛岡銀行)でした。

赤レンガと白花崗岩コントラストがとても華やかですね。ルネサンス様式だと思われますが、窓のセミサーキュラーアーチなども大変綺麗な状態です。
ピラスターの頂部にはイオニア式の飾りが上部のペディメントを支え、その上にはキューポラのあるドームが乗っています。
このドームの部分を見ると、辰野金吾博士の代表作の東京駅のルーツがすでに見られますね。


避雷針の意匠もおもしろいですね。


窓周りはきちんと造られ、木製の窓がはまっています。

上部の赤レンガはかなり痛んでいますが当時の職人さんの気合いが感じられますね。
竣工が明治44年ですから、この様な大規模な組積造を造ることの出来る職人集団もそれなりに居たのでしょうが、やはり専門職としてあちこちの現場を渡り歩いていたのだと思います。



次に現れたのは葛西萬司氏の盛岡信用金庫本店でした。
先ほどの岩手銀行のすぐ近くにありました。
昭和初期の建物です。

RCの躯体に花崗岩を張り付けた仕上がりで、コラムの周囲も綺麗に仕上がっていました。
スチールサッシも当然オリジナルなのだと思いますが、大切に使われていることが判ります。
歴史的な意匠を近代的なデザイン手法で処理したモダンな建物です。


この建物は現在でも使用されていて内部ものぞかせて貰いました。

入り口のアルミ製の自動ドアが興ざめですが、そのほかは大変綺麗な状態でした。

突然乱入した見物客達にいやな顔をせずににこやかに応対してくれる行員のおねえさん方が印象的でした。
私たちのような建築フェチが良く来るのでしょうね。

盛岡市内のこの辺りではこの様な歴史的建造物がシリーズで並んで建っているため大変興味深い散策になりました。

ヤギモク 遠藤

構造工学シンポジウム

先日東京工業大学大岡山キャンパスで構造工学のシンポジウムがありました。


あいにく雨模様の天候でしたが、会場が大岡山駅の目の前に有ったため助かりました。
このシンポジウムは「構造工学論文集」の掲載論文の発表会で、掲載された論文はすべてこの会で発表する義務があるのです。
昨年の秋に私も6ページの論文を書いて投稿したのですが、それが査読を通り、年が明けて1月中旬の訂正期限ギリギリいっぱいで提出したものがやっと掲載決定となり、先月本になって配られました。
タイトルは「構造用合板による高耐力構面開発のための基礎研究」です。

訂正論文の提出期限の1月にはミュンヘンのバウメッセに行くことになっていたため、出発直前までギリギリのスケジュールの中、木材学会の梗概集の文章と合わせて徹夜で作成しました。



会場はあいにくの天候という事もあり、聴講者は発表者をのぞけば大変少人数でした。

当日の朝、会場へ向かう新幹線の中で、パワーポイントの最終調整と読み上げ用文章の添削をやりました。
いつもならすべてアドリブで発表するのですが、今回は内容が多いためしっかり文章を用意しました。

毎度のことですが、直前のドタバタのラストスパートで今回も何とか発表は無事終了です。(笑)

大学院の卒業にはこの様な論文を何本か発表しなければなりません。
以前、修士課程は比較的楽だが、博士課程は結果を出さなければならないため、けっこう辛いと、先輩が言っていましたが、まさにその通りでしたね。

次の論文を出すためには新たなネタが必要で、そのための実験計画も必要です。
これから卒業までのあいだ、忙しい日々が続きそうです。



ヤギモク 遠藤