馬頭広重美術館

栃木県那珂川町にある馬頭広重美術館を見ました。
隈研吾の2000年の作品です。
村野藤吾賞やフランスの芸術文化勲章も受章しています。

第一印象は正直言って強い違和感でした。


隈研吾氏は一昨年より東大工学部の建築学科の教授となっています。
以前はポストモダンで有名でしたが、自然素材を生かした建築、特に格子を多用した作品を生み出して来ました。
この美術館はまさにその過渡期の建物です。

私たちは日頃木材に接して仕事をしています。木材の使い方のイメージも当然持っているつもりです。
この美術館はまさにそのイメージを根底から変える建物として登場したのです。
しかし10年経って実物を見ると・・・違和感が・・・

いくら安定処理剤を使用して耐候性のよい塗料を塗っても、木材の紫外線劣化は起こってしまいます。
反りやねじれなどもあり、仕上げ材が暴れている事が遠目に見ても分かります。
残念な第一印象でした。

外部に木材を使うのは定期的な交換を前提とします。代表例としては伊勢神宮式年遷宮が有名です。
細い木材は特に注意が必要です。これがメンテナンスを必要とする事は最初から分かっていたはずですが、木材のせつなさや時に流れてうつろう姿を愛で、万物必衰の理(ことわり)を表現する事がこの施設に求められていたのか、これは直感ですが凡人との差を表現するための手段では無かったのか・・と感じました。

シルエットは大変美しく、建築家の求めた美が何処にあったのか本当に良く理解できます。

エントランスから館内へ入ると美しいオブジェが出迎えます。

鉄とガラスと細い木材の格子で成り立つこの建物は細部まで美しい仕組みが整っています。

入り口の自動ドアのエンジンは床下に隠れています。
ガラスの透明感と格子の美しさが、最小限の境界を内外部に構成します。

繊細な繰り返しの美を極限まで簡素に大胆に表現している事には感動します。

これはトイレの手洗いですが、石材のディテールが美しいですね。


展示室は写真撮影禁止でしたので内部空間は撮れませんでしたが、日本の伝統文化が持つ端正な美が凝縮されていました。




ところで、この建物に到着した際、昼を過ぎていたため、昼食もこの近くで済ませようと、長めの見学時間を設定していました。エントランス横にレストランがあることに気が付き、そのお品書きにみんな目が釘付けです。
そこにはイノシシカレーとありました。

もちろん店内に入り、さっそく注文です。

お客さんはほとんど居ませんでしたが、とても時間が掛かり、なんとみんなの注文が全部出てくるのに一時間掛かりました。
私はイノシシカレーが気になりましたがすぐに売りきれとなり、オムライスにしました。
やはりカレーの方が調理が早かったですね。
待っている間に、美術館を見学しました。

ヤギモク 遠藤